『B-Project』始動 ~鉄道の安全を支える未来の技術者へ~

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近年、鉄道の安全を支えている技術者不足が問題となってきているのはご存知でしょうか。
各鉄道事業者とも、コスト削減やアウトソーシング化が進み、鉄道の現場で活躍する技術者の高齢化と若年技術者の不足により、技術継承が喫緊の課題となってきています。
国土交通省が毎年発表している『鉄軌道輸送の安全に関わる情報』によると、運転事故の件数は減少傾向にありますが、輸送障害(列車の運休や30分以上の遅延が生じた事象)の部内原因(鉄道事業者に原因がある)は増加傾向にあります。

「1人でも多く鉄道の安全を支える人材を育て、鉄道業界に送り出したい。その為には、本物に触れる機会を増やしたい。」それは、鉄道システム学科の共通の認識でした。生きた教材は、どんなに優れた教科書よりも学生を育ててくれるはず。その為に、鉄道車両の根幹である、鉄道用台車を学校に持ってきたい。何時しかそんな想いが生まれてきました。

「将来、鉄道業界を支える学生を育成するために、教材として鉄道用の台車を提供して頂けませんか。」各鉄道会社や車両を製作するメーカーに問い合わせをしていきました。しかし返ってくる答えは皆同じでした。「そんなこと、出来るわけがない。」

心が折れそうになった昨年の12月。とある席で鉄道会社に勤めていらっしゃる大学の先輩とお会いしました。鉄道業界を志す学生への想いを伝えました。その方の返事は「うちの会社でも技術者不足は問題になっている。少しでも優秀な人材を育てたいのは、同じだ。やってみようじゃないか!」
数日後、その方から、車両部の担当者を紹介して頂くまでに、時間は要しませんでした。

「ちょうど今年度廃車になる車両があります。そこから、台車を譲渡することは可能です。」思ってもみない解答が車両部担当者から返ってきました。しかし、越えるべきハードルは山ほどあり、尻込みしました。学校内からも「本当にそんな事ができるのか?」と疑問の声がありました。しかし、次に廃車が出るのは2年後。
今しかない。そう決意し、台車搬入に向けて、ハードルを一つ一つ越えていきました。

最大の関門は、台車を設置する線路を作成することでした。限られた条件下で、最大限安全に配慮したものを作成できるのか。色々な方のアドバイスを頂戴しました。

しかし、線路幅の許容範囲は1435mmに対して、+10mm~5mm。この範囲内に収まらなければ台車は載りません。学生たちが率先して作業にあたり、ミリ単位の調整が続きました。完成したのは台車が到着する二日前。ただ、実際に載線できるかは、当日にならないとわかりません。

そして10月4日。その日はやってきました。
学生たちの期待と不安が入り混じる中、作業が開始されました。クレーンで吊られた台車が徐々に作成した線路に降ろされて行きました。次に、載線。線路はびくともしませんでした。そして、作業終了。自然と拍手がおきました。

この台車を活用し、多くの事を学んだ学生たちが、鉄道の安全を支える技術者を育て上げていく。

B-Projectはまだ始まったばかりです。

文:阪神自動車航空鉄道専門学校 鉄道システム学科 教員 市場 宗丈

 


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