<モータリゼーションが進む東南アジアで更なる事業展開を> 現地でマネジメントをする三上から見たミャンマーとベトナムの現状と今後

1964年の東京オリンピック後に一気にモータリゼーションが進んだ日本。
50年経った今、東南アジアでモータリゼーションが加速しようとしています。
今回はミャンマー・マンダレーのトヨタ、ベトナム・カントーの三菱正規ディーラー店舗のマネジメントをしている三上に、ミャンマーとベトナムの現状と今後の事業展開、店舗運営する上での日本との違いを聞いてみた。

 

 

アメリカ車に魅了され、「海外で働いてみたい」と思った


これまでの経歴==================
■海外事業本部 東南アジア事業部 部長 三上 光生(みかみ みつお)
大学を卒業後、輸入車の販売店で整備と販売を担当。その後、ロサンゼルスで車の買い付けを10年以上経験し、オークション回し、クイック鈑金事業や中古車販売・買取の付帯事業4拠点を立ち上げた。その後、スリランカで日本のオートオークションの応札・輸入、モンゴルで三菱自動車正規輸入元の立ち上げに携わるなど自動車一本のキャリアの持ち主。モンゴルにいた時にGLIONグループの海外事業部 ライガーホールディングインターナショナルの代表取締役社長 平と知り合い、縁があってGLIONグループに入社。モンゴル、ミャンマー、タイ、ベトナムで正規ディーラーの立ち上げから店舗運営までを担当している。

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―本日はよろしくお願いいたします。まずは、三上さんがGLIONグループで仕事をすることになったきっかけを教えてください!
三上
 ディストリビューターの立ち上げをモンゴルでやっていたのですが、その時に所属していた会社の方がGLIONグループ 田畑代表と仲が良くて。2012年に田畑代表がモンゴルに来られた際にご挨拶する機会があり、その後、今の所属長である海外事業部の平社長とウランバートルで出会い、同業者として情報交換するようになりました。のちのち私は日本へ戻って仕事をすることになったのですが、日本での仕事が物足りなく感じていたんですね。そんな時に改めて平社長と日本で会い、「GLIONなら東南アジアの拠点やこれから立ち上がる事業もあるので、うちでやりましょう」と誘われたのがキッカケです。

―以前から海外で車にまつわる仕事をしていたということですね。若い時から海外志向だったのでしょうか?
三上 そうですね、10代の後半から海外に行ってみたいと思っていました。それくらいの時期は社会全体的にアメリカ文化が強い時代で。速いアメリカ車に凄いインパクトを受けたことから、アメリカ車に触りたくなったんです。そして仕事でアメリカ車に触っていると、今度はアメリカの匂いがしてくる。そうなるとやっぱりアメリカに行ってみたくなって、実際にアメリカに買い付けに行きました。アメリカ車・異文化に触れることで、短絡的ですが「海外で働いてみたい」と思ったのが23~24歳の頃でした。

―車はずっと好きだったということですね。経歴に、販売だけでなく「整備」とありますが、三上さんは整備士の専門学校へ通っていたのでしょうか?
三上 10代の頃から車は好きでした。80年代半ばは青山ゼロヨンと湾岸最高速の全盛期で、みんな違法改造しているような時代でした。私は整備士の専門学校を出ているわけではないですが、ショップに勤めて工場長や先輩に怒鳴られながら整備について教えてもらっていましたね。

 

 

ミャンマーとベトナムの土地や人柄は?


―現在はミャンマーのマンダレーでトヨタ、ベトナムのカントーで三菱の正規ディーラーを主に三上さんが管理されているということですが、それぞれの土地や人柄に特徴はありますか?
三上 マンダレーはミャンマー第二の都市で、ミャンマーの国内では都市部にあたります。近隣にはBMW、メルセデスベンツ、三菱、日産、現代自動車も店舗を構えています。ミャンマーは皆さん仏教徒で、大人しい方が多いです。会えばニコニコしていて、第一印象は穏やかでフレンドリーだと感じました。つい4~5年前まで軍事政権で鎖国していたので、素朴な人たちです。また、これも政治的な背景が影響しているのかもしれませんが、ミャンマーでは自分でどうにかする、その為に考える、部下を育てるという考え方ができる人がまだまだ少ないですね。

 

三上 ベトナムのカントー市は中央政府が管理している5市のうちの1つです。今後の経済発展や都市開発は中央政府の予算割で計画を進めることになるので、ポテンシャルがある街です。現地の人はミャンマーと同じで笑顔の方が多いです。また、みんなで一丸となってやっていく、という意識が強いですね。カントーのメコンデルタは世界で見てもお米の大生産地なので農耕民族のDNAを持っているという意味では日本人と似ていると思います。同じゴールに向かって仕事をしていくという意味でいうと、ミャンマーに比べると仕事がしやすいですね。

 

 

≪豆知識≫仕事中にふらっと外出。ベトナムとミャンマーの驚きの文化


―文化の違いで戸惑うことはありませんでしたか?
三上 ベトナムもミャンマーも共通していますが、仕事中に職務放棄をしてどこかに行ってしまうことがあります。カジュアルリーブと言って、気軽に外に行ってしまうという意味なのですが、日本のように事前に半休や外出を届け出ることなく、フラッとどこかに行ってしまいます。「買いたいものがあって見に行っていた」「家族のお見舞いに行っていた」など理由があるものの、半日帰ってこないことが多々あります。そういう文化なのでいちいち腹を立てていると喧嘩になってしまうので大変です。モンゴルでも2~3日帰ってこないスタッフがいたこともありましたね(笑)。

 

 

人気の車種や、ターゲットは国によって違う


―売上の推移や主力車種に違いはありますか?
三上 ミャンマーの首都ヤンゴンはシンガポールに上場しているような企業もある商都ですので、いわゆるサラリーマンや自営業者が多いのですが、マンダレーでは北部の鉱山セクターに関わる方がお客様のメインになっています。ビオスやハイラックスといった車種が売れていますが、個人でハイラックスを買われる方は鉱山に関連したセクターで働いている方が多いですね。業務用に年間70~80台購入して下さる企業もあります。
昨年は300台販売しましたが、今年は1000台以上を目標にしており、利益も昨年の6倍ほどを見込んでいます。目標に対する進捗率も今のところ順調にきています。

三上 カントーの店舗は8月28日にオープンしたばかりですが、エクスパンダ―という東南アジアで大人気の車が既に100台以上の受注残があります。それ以外にもアウトランダーやミラージュも売れています。ベトナムにはディーラーが29社ありますので、サプライヤーである三菱自動車ベトナム側から割り当てられる台数にもよりますが、年内の目標台数はクリアできるのではないかと見込んでいます。
メコンデルタは農村でお米の集積地になっていて、農民からお米を買う仲買人や卸売がビッグビジネスになっています。自動車のディーラーどころではない金額が動くビジネスなので、そこに関わっている方々が主なターゲットになります。また、カントーはちょっとした観光地になっていますので、ホテルやレストランのような観光セクターに関わる人々もターゲットとなりますね。

 

 

日本との違いは“新車”の需要が強いことと、「人とは違う車に乗りたい」という意識があること


―店舗運営をするにあたって日本とどういったところが違いますか?
三上 ミャンマー、ベトナム共に新車の需要が強いことですね。中古車のニーズは今後出てくると思いますが、ミャンマーもベトナムも中古車の流通システムがまだ全然整っていません。ほとんどが当事者同士でネゴシエーションして売買されているのですが、ミャンマーは日本でいう自動車税のような保有税がありません。だからみんな名義変更せずにどんどん転売してしまっています。課税して名義変更するシステムを作り、中古車が流通する環境を整えていくことも将来的にやりたいです。

―日本では新車で買うよりも手が届きやすいので中古車も人気ですよね。新車のようにキレイなものも多いですし。
三上 はい。しかし、トヨタはまだ中古車の販売を認めていません。中古車を下取りに出して、足りない分を現金で支払って車を買いたいというお客様がいても、今は近くの中古車屋さんを紹介して、そちらで売ってきて下さいとお願いしています。今後は現場で働く人たちのスキルを上げなければなりませんが、トヨタとして正規に下取りを受け入れ、追い金を頂いて車を売る、下取りした中古車をきれいにしてトヨタ認定中古車として売っていく、という構想はトヨタも持っています。今はまだ新車のニーズが高いので、ちゃんとした形で中古車が流通するのは少し先になりそうです。

―お客様への“おもてなし”は日本式で取り組まれているのでしょうか?
三上
 日本は競争社会になってしばらく経つので、差別化や顧客満足度といったようなテクニカルな指標が沢山あり、店舗に来られたお客様がおもてなしを受けるような接客が当たり前になっていますが、ミャンマーやベトナムでは「車が欲しい」というお客様の背中をきっちり押してあげて、売ることができればまずはOKという段階です。逆に日本の礼儀正しい対応は変に思われてしまうこともあるので、現地に合ったおもてなしを行っています。

―お客様からの要望の中で、日本との違いは感じますか?
三上 他の車と差別化したがるお客様が多く、アクセサリーのニーズが高いです。ただ、日本人の感覚からすると、デザインのバランスが崩れてしまうようなエアロパーツだったり、仰々しいクロムメッキの飾りだったり、理解できないことはあります。7色LEDでピカピカ光るのがかっこいい、というような感覚なので、日本とは違いますよね(笑)。

 

 

次にくるのは“中華系”の車?GLIONグループの課題とは


―現在の課題、今後の展望について教えて下さい!
三上 課題はミャンマー、ベトナム共にサービス部門のマネジメントです。
私たちはパートナーとなる地元企業とジョイントベンチャーを作っていることになります。役割としては資金を用立てるのもそうですし、日本の自動車メーカーを連れてくるのも大事ですが、一番はサービス部門の管理運営をしっかりやっていくことです。ベトナムやミャンマーは競争社会になっていないこともあり、働き方にまだまだ幼稚な部分があります。先程申し上げた通り、販売に関しては車が欲しい人はたくさんいるので、きっちり背中を押してあげることができれば現状は問題ありません。しかし、サービスに関してはもっとお客様の囲い込みや、他社との差別化が必要だと感じています。それがメーカーのブランディングに繋がっていくと思います。

―それぞれの国でターゲットや人気車種は異なると思いますが、世界的に見て、今後はどんな車が売れると予想されますか?
三上
 世界規模で考えると、ヨーロッパ車、アメリカ車、韓国車に加えて“中華系”も台頭してきていて、これからは今まで以上に中華系に人気が出ると思います。日本人からするとあまり目を留めないかもしれませんが、東南アジアの人々からすると「中国の車は安いし、見た目もかっこいい!」という風潮になってきています。
実際に、日本の優秀な技術者は3~4倍の年俸で中国に引き抜かれていて、技術の流出が始まっています。それに伴って中国の車もだんだん良くなってきています。

―なるほど。中国は日本の技術を高いお金で買って、良い車をつくることに成功しているということですね…!
三上 ただ、問題は車を売った後の“アフターサービス”なんです。整備士の技術のレベル、スペアパーツの供給体制は整っていませんし、「新車を売って1年後にどこの箇所が故障したか」というのが分かるKPIデータを収集して…ということもできていません。なので日本側はそういうところをしっかりとして、「日本の車は壊れないし、万が一壊れてもアフターサービスがしっかりしている」と認知されなければならない。そこが私たちの重要な役割でもあり、課題ですね。

―信頼度は日本の強みであると言えますね。新たに店舗を出店するなど、次の計画は決まっていますか?
三上 詳しいことはまだ秘密ですが、ミャンマーは来年、新たな動きがあるかもしれません。
ベトナムはオープンしたばかりなので、まずは今の店舗を軌道に乗せてからですね。

 

 

様々な国で働いたからこそ言える「海外でビジネスする上で必要なこと」


―海外で働く上で日本以上に求められることはありますか?
三上 決断するスピードです。今まで働いたモンゴル、スリランカ、ミャンマー、ベトナムで異口同音にみんなから「日本人は決断が遅い」と言われました。働いてみると分かりますが、日本人はやはり決断が強烈に遅いです。海外では先にやるか、やらないかを決めて、やると決めたらやりながらどうやるかを考えます。とにかくまず走り始めるのが大事、という考え方ですね。
日本人は決断する前からスケジューリングをしてしまいがちです。「日本人は決断が遅いし、会議も多い。しかし、いざやるとなったらスケジュール通りに仕事を進めるところが日本の凄いところだ」と言ってくれることもありますが、これに関しては長く日本人と仕事をしたことがある人にしか理解してもらえません。

大きな案件でどうしても本社の判断が必要な際には時間をもらうこともありますが、次の日の朝一番で「昨日の話どうなった?」と電話がきます。ある程度決裁権をもらっているので、事後報告になることもなくはないですが、先回りして根回ししたり情報共有したりということもとても大事ですね。メーカーの担当者とも常に連絡を取り合って、温度感も共有するようにしています。決断力に加えてコミュニケーション能力や合意形成力が重要ですね。

―スピード意識が高いということですね!語学は自然と身に付きますか?
三上
 もちろん自主的に勉強しなければなりませんが、英語は現地である程度揉まれるので、身に付きます。僕はロサンゼルスで仕事をしていた時に英語力が伸びましたね。買い付けの仕事をしていたので交渉事が多く、やり取りをする中で覚えていきました。ミャンマーやベトナムでもマネージャークラスは英語を話しますので、そういう人たちと打ち合わせをしたりする中で自然に伸びていくと思います。ですが、現地語はなかなか覚えられないですね(笑)。モンゴル語は勉強会に参加して少し覚えましたが、まだまだ全然です。

―では最後に三上さんが今後やってみたい仕事、仕事をしてみたい国はありますか?
三上
 アジア以外の地域にも行ってみたいですけど、特に国やエリア、事業内容にはこだわっていません。我々は主に東アジアと東南アジアでディーラーを展開していますが、アジア以外の地域からも「GLIONグループと一緒に自動車に関わるビジネスがしたい」というお話をいくつか頂いているので、その中に挑戦したいものがあれば、手を挙げたいと思っています。

―今後の海外の事業展開も楽しみにしています。ありがとうございました。

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