マーケティングの基本は内部コミュニケーションから。全てを内製するその真意とは?

12のカーブランドを取り扱うGLIONグループ。その中でも、兵庫県神戸市を中心にBMW、MINIの店舗を展開しているのが『モトーレン神戸』。“BMW”と聞くと、全国どこの店舗へ行っても同じだと思われがちだが、その店舗を運営している会社によってマーケティングの方法、イベントの施策は全く違う。今回は、日本におけるBMWの輸入・販売などを行っているBMWJapanも注目のモトーレン神戸のマーケティングに迫ります。

 


 営業企画部 部長 湊 善行
輸入車業界19年、国産車業界10年、化粧品業界4年、多様な経験を活かして現在㈱モトーレン神戸、本社の営業企画部長として活躍中。今年4月のグループ組織再編に於いて輸入車ディーラー事業部・経営企画室長に就任。輸入車ディーラー各社の更なる発展に向けて挑む。


 営業企画部 係長 冨田 真也
大学卒業後、1996年に当社へ入社。以来22年間BMW Group一筋に邁進。永年勤務する中での経験と知識を生かし、現在、営業企画部として多岐にわたり業務内容を把握し日々の職務推進にあたる。メーカであるBMW Japanとも密にコミュニケーションを図り各種折衝にもあたる。今後は輸入車事業部の更なる発展に尽力する。


 営業企画部 マーケティング担当(IT責任者兼務) 飯田 剛史
これまでのDTP、DTM、DTV、Web、SEの経験を活かすべく、2016年からKobe BMWへ入社しマーケティングを担当。PCで制作できるものはどんなものでも対応可能。現在は印刷媒体からWebの制作、Facebook、Yahoo!などの広告も即座に展開できる環境を整え、メーカーからのWeb活用において相談にも応じている。


 

BMW Japanも注目する
異例のマーケティングチーム


GLIONグループ広報部の浅野です。本日はよろしくお願いします!皆さんは“マーケティング”として普段どのようなことをされているのですか?

紙媒体を中心にマーケティング全般を担当し、BMW Japanとの連携を図り効率的に業務を遂行するのが私の仕事です。イベントや広告はBMW Japanとの間で取り決めた予算をベースにして企画します。ブランド訴求はもちろん新規のお客様を獲得するために広告を展開し、販売台数を確実にクリアするのがミッションです。

私はマーケティングの中でもITの担当者で、デザイン、WEB、映像までパソコンでできることは全て携わっています。印刷物のデザインなども外部の会社に頼むとコストがかかるので、できる限り内製で行っているのがモトーレン神戸の特徴です。外注した場合と内製の場合は経費も全く違うし、何よりスピードが違います。印刷以外は業者を通さず完結できるので、例えば「イベントに使うパネルが欲しい!」といきなり言われてもその日に1時間でデータを作り、次の日には現物がある状態にできます。他にも、「三宮店でこういうキャンペーンやります!」と言われたら2時間後には広告をFacebookやYahoo!にUPするとか。スピード感が1番のメリットですね。

実は飯田とは前職のIT会社で知り合い、手伝ってもらっていたんです。今は紙だけれど、次の時代はITを制すことだ。ということで弊社に呼びました。

冨田さんは新卒入社でずっとモトーレン神戸に務めていらっしゃるのですか?

大学卒業後、新卒入社して22年になりますね。はじめは営業課、そして業務課に所属し、その後今の部署へきました。

では、冨田さんはモトーレン神戸でマーケティングを学んでこられたということですね。

はい。

日本はマーケティングが大事だという風潮があるにも関わらずなかなか広がらず、マーケティングの責任者というポジションもまだまだ少ないですよね。どうしてでしょう?

理由の1つは、良いものを作れば売れると言うモノ作り神話が根強い点、もう1つは「年功序列」にあると思いますね。組織のピラミッドを崩せないんです。アメリカは実力主義で要求されたらそのポジションを作るので、会社の半数には「CMO最高マーケティング責任者」というポジションが現にあります。それに比べて日本はまだまだですが、我々モトーレン神戸のマーケティングはBMW Japanから注目されております。マーケティング方法を逆にヒアリングされたり、勉強会を開いたりもしています。何年もやってきてやっと気づいたことを、簡単に「はい、どうぞ」と全てのノウハウを渡すことはできないのですが、参考にしてもらえたら。という気持ちでお話させていただいています。

BMWJapan公認のマーケティング、すごいですね。

 

 

組織強化のカギは本部と現場の
「信頼構築・役割分担」にある?


いわば縁の下の力持ち的ポジションになるかと思うのですが、現場と連携するシーンも多くあるかと思います。その際に大切にしていることは何ですか?

社内の全部門との連携が取れるのは営業企画部ですので、部署を超えて様々な案件を受け止め実践します。スピード感を大切にしているため、自分たちで解決してしまおうと。1度解決するとまた相談してくれるので、信頼関係が生まれますよね。

何かしら面白みがないと相手も心を開いてくれないと思うので、コミュニケーションにはノリを大切にしていますね。マーケティングのためではなく、従業員同士としての声かけをすることで、そこから人間同士の関係性ができる。お互いに無理はせず、無理をしてもらわない。デスクからの連絡ばかりではなく、拠点を走り回ってすぐに対応、フォローすることで、現場のスタッフと信頼を築くことを心がけています。そうすることで、こちらからもお願いがあると頼みやすくなるんですよ。

マーケティングをするためには人と人の信頼関係が大前提なのですね。マーケティングは3人で完結しているのですか?

毎週のようにフェアを開催していますね。BMWJapan主導のイベントももちろんありますが、我々は独自イベントにも注力しています。例えば、3月はたくさんクルマを売りたいのに、メーカーとして開催するイベントが当社の現状に即していないと判断。そこで、モトーレン神戸ではスプリングフェアを企画しました。ノベルティ1個まで全てこちらでつくります。ここでも、内製にするか外注に出すかで年間1000万円差が出でてくるんですよ。

なるほど。それでは今回のGWイベントもモトーレン神戸独自で企画したイベントということですね!イベントの開催前や開催後に必ずしていることはありますか?例えば、反省会とか。

新規来店の中でも、何がキッカケで来店いただいたのかは毎回集計しています。去年は何組来て何件成約したのかを基に、反省点をPDCAで回すのです。各拠点のデータを集めて、そこにコメントを入れてこちらから拠点にフィードバックしています。開催するイベントを事前に詳細まで把握していないセールスもいるので、「DM、チラシはこういうのを出しますよ」という事前共有を大切にしています。

独自企画DMなどは各店舗から送るのではなく、我々のいる本部で一括管理し、発送しています。現場に無駄な作業をさせないことで、売ることに専念してもらえているかと。

そこまで本部でやっている会社はあまり聞いたことがないですね。逆に、各店舗の仕事を本部で担っていることによる課題や改善点ってありますか?

売りに専念できる環境を作ることは良いのですが、販売における一連の流れを各人が行わないことから、セールスマン一人一人の経験値の幅が狭くなる傾向は否めなません。本業である販売活動に専念することや、時代の流れで効率化を図ることはできていますが、必ずしも効率化=販売実績達成のロジックにはなっていません。

たしかにそれ故、メンタル経験のようなものはスキップしてしまえる環境ではありますが、それでも結果に繋げるには効率化は絶対に外せませんね。

 

 

ディーラーは定休日では…?
『GWフェア』開催の真意


ちなみに、今回のGWフェアでこだわったポイントはどこですか?

GWフェアは毎年開催しており、既存のお客様は楽しみにしているイベントです。どちらかというと「買ってください!」ではなく、「遊びに来てください!」といったような雰囲気を作ることがポイントで、抽選会なども行ってたくさんの方に来ていただけるようにしました。BMW5.6.7シリーズを置いているショールームでガラガラ―とするギャップが楽しいのか昨年は大好評でした(笑)。昨年は1等が空気清浄機。流行の家電を景品にしていました。

なぜ私は呼ばれなかったのでしょうか。

当社に顧客データがなかったです、すみません。

そろそろガラポンは卒業かなーと思ってスクラッチカード抽選にしました。今年は「多くのお客様に喜んでもらう」「GLIONグループはどんな会社か」ということを伝える機会にできればという思いで企画しました。ホテルの旅行券もいいけど、それだと当たりの本数が少なくなりますよね。今年はGLIONグループの商品を景品にし、当たり数も増やすことで、多くのお客様にGLIONグループを知ってもらえ、喜んでもらえました。

これが当日各店舗で使用したパネルです。

すごい、パネルも全てマーケティングチームで作られているのですね。こういった機会で実際に食べてみるまで「あ、これすごく美味しい」って知ってもらえないと思うので、景品にするのは良いですね。その他に、今回のフェアでのポイントはありますか?

GWは休みのところが多いですよね。そこで、我々はあえて大きなイベントをGWに開催しています。5月に力を入れることで、6月に余裕ができるというのもメリットです。GWフェアが終わったあとにBMW X2がデビューすることは当然分かっていたので、今回のフェアで流れをつくろうと思っていました。

なるほど!

3か月先のイベントまで見据えて企画、準備を進め、DMをお客様に送ります。まず見てもらうことがかなりハードルが高くて。そこで、そのDMにちょっとしたプレゼントがついているとどうですか?気になって、ポストから玄関をまたぐことができると思うのです。その仕掛け、一寸した工夫を大切にしています。

たしかに、ピラピラの紙だったら見ないで捨ててしまうこともあるけど、何かついていると絶対に開けます(笑)。

ですよね。今回は「百日草(ひゃくにちそう)という花の種をDMに付けました。そうすると、植えてから花が咲くまでの3カ月間は弊社のことが頭にあると思うんです。

そこで次の3か月のキャンペーンに繋げるわけですね。今のお話で、PDCAの「P」の重要さを感じました。

 

 

飽きない15秒
Facebookの動画広告は兵庫県でNo.1に


クルマを扱うメーカーはたくさんありますが、BMW、MINIのお客様だからこそ響くマーケティングのポイントってありますか?

BMWやMINIの価格帯は、競合他車がひしめき合っています。その中で優位に立っていくという意味では、マーケティングの王道は崩せないのが1つのポイントです。冨田のほうでコントロールしているターゲティング、軸足、それを崩さないことが重要になります。あとは、イベントの主旨を固めることですかね。過去のデータと照らし合わせて、今販売しているクルマのラインナップなどからイベント告知の媒体、費用、開催日までを落とし込んでいく。ここがしっかりできることが成果に繋がります。1つの紙を使うにしてもITと連動したり、拠点と連動するためにQRコードを入れたりと工夫は様々です。クロスメディアは欠かせません。

+αの施策を漏れなく詰め込まれているところがすごいです。モトーレン神戸では他ディーラーに先駆けてWEBに注力していたとお伺いしましたが、ここ数年で広告の方法で大きく変わったことってありますか?

私は入社して2年ですが、前職の時代も含めモトーレン神戸のIT戦略を約5年前から走り出しました。効率、媒体の見極め、広告のスタイル、という3点は突き詰めていきましたね。今は動画広告が一番熱いです。

やっぱり動画なのでしょうか、今は。

そうですね。あと、公式ディーラーサイトだけでなくFacebookなどSNSの強化、そして今では独自でプロモーションサイトも作っています。現在ではリニューアルし、UIも改善しました。
※UI(User Interface/ユーザーインタフェース)とは「ユーザーがPCとやり取りをする際の入力や表示方法などの仕組み」

もちろんプロモーションサイトはレスポンシブでスマートフォンにも対応にしました。全国でもうちだけです。イベントがなくてもかなりの訪問数があり、集客を助ける大きなツールになっています。

Facebookの動画広告は、スマホ閲覧で最適にするために無理やり縦長の動画をつくっています。あきない15秒。これ、兵庫県で一番見られた動画になったんですよ。BMW、MINI共にかなりの再生回数を叩き出しました。

動画CMを見て「え、これで終わり?」という消化不良感を残し、また見たい!と思ってもらうのがポイントです。

はい、早く次を作って欲しいです。

新聞広告の原稿制作も、キャッチコピーから掲載ビジュアル、校正レイアウトまで私たちで決めてます。最低でも四半期に1回は広告を出していますね。ブランドイメージの構築は私たちディーラーにも責任がありますから定期的に展開する必要があります。

すごい、BMWのメーカーっぽい…。広告1つ作るのも楽しそうです!

 

 

試乗で5000円の商品券をプレゼント
今までにない“体験”の機会をつくる


仕事は楽しくやらないと。マーケティング会議の前にはみんなで全然関係のない話をしたりして、頭をリラックスさせています。様々なアイデアが湧き出て来る雰囲気、提案内容にNOはありません。あとは、広告する中身ですよね。試乗だと、とにかく乗ってもらうことが目標。そこで、「試乗モニターをしてくれた方には商品券5000円プレゼント!」というキャンペーンをやりました。

案内きてないです。

(笑)住所とお名前を…

試乗後ではなく試乗時に5000円の商品券をお渡しして、「これでお好きに食事を楽しんできて下さい」と。内外部からはかなり反感はありましたよ(笑)。でも実際にやってみたら、すぐに予約枠が埋まって、最終的には3台のご成約をしていただきました。この企画、今はBMW Japan で実施されていますね。(笑)

動画広告に加え、今重要視しているのは体験を売るということです。1つの仕掛けだけじゃダメ、誰でもできてしまいます。マーケ展開の指針はグロースハックです。
※グロースハックGrowth Hack)とは「ユーザー から得た製品やサービスについてのデータを分析し、できるだけ費用をかけずに改善して マーケティング の課題を解決してく手法」

一般のお客さんからすると、BMWはどこで買っても一緒だと思っていますよね。だからこそ他店との差別化は重要になってきますね。

そうですね。本もWEBも読むし、最先端のマーケティングの知識で武装すると共に、マーケティング以外のことも勉強しています。そうでないとこの時代おいついていけないです(笑)。

時代についていくには日々勉強ですね。

 

 

目指すのは、BMWやMINIだけに留まらず
GLIONグループのファンを増やす“究極のマーケティング”


最後に、今後この部署、グループでやりたいことはありますか?ご自身の展望でも構いません!

SNSだけでなく、色々なものでグループ内の方々と交流できるようにしたいですね。うちの強みやGLIONグループの他社の強みを生かしてお互いが良くなっていける取組みは積極的に実施したいです。

制作に携わる人はグループにも多くいるので、「GLIONクリエイティブチーム」とかつくったらおもしろそうですね。

みんなで情報交換するのは楽しいですねきっと。

色んなブランドを通して、何か起こしてくれそうですね。GLIONクリエイティブチームのオフ会しましょう!

実はこれから、飯田がランボルギーニ名古屋の発注の仕組みを作ります。各輸入車ブランドのマーケティング戦略もサポートする。これが経営企画室として重要な仕事になります。また、マセラティ、GMとも販売戦略などを共有して強化していく予定です。GLIONグループの輸入車ディーラーのファンになってもらうことが最も重要。ファンになってもらうには何をするかを1番に考えていますね。ビジネスには2つの機能しかなく、イノベーションとマーケティングです。我々は「究極のマーケティング」をゴールイメージに置いて、日々の実践とPDCAを繰り返し、達成に向けて毎日知恵を絞っています。

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